SuperGT/ルマン24
レーシングドライバー

レーシングドライバー伊藤大輔オフィシャルサイト

ROAD to LEMANS「大輔のルマン参戦記」

vol.9:林社長の命令

スタート時は晴れ。大観衆のなか旧ルマン式のダミーグリッド(2輪レースの8耐みたいにマシンが並べてある反対の方からドライバーが走ってきてマシンに乗り込むスタート方式)で7番手アウディの横にマシンを並べた。この時ばかりはルマン24時間の雰囲気に酔いしれ、スタートに向けてのほのかな緊張を楽しんでいた。スタート前、林社長に呼び止められた。「スタートシーンの写真は全世界のメディアが使うからな、プジョーとかアウディと一緒に写るような位置取りで1コーナーに入らなあかんで。」この言葉を胸にローリングスタートに向かったが、スタートでいきなり林社長の要望に応えられない出来事が。9番手のペスカローロが最終シケインで無理矢理アウト側に並びかけきたのだ。おかげで僕の加速は鈍り1コーナー進入時にはプジョーやアウディと大きな差が出来てしまい、コントロールラインを通過する時は何故か僕よりペスカローロが前に出ていた。何とかストレートスピードを生かし順位をキープしたけど、SUPER GTのスタートだったらもちろんペスカローロにペナルティだね(怒)。でもルマン24時間ではそんなの関係ない。「社長、ごめんなさい…(泣)」。

その後はしばらく1号車アウディのうしろを走っていたけど、1号車は10号車ローラアストンマーチンを抜いた後見えなくなってしまった(泣)。僕としては何とか10号車を抜きたかったけど、コンマ数秒単位で少しづつ離されていく。スタート直後にプッシュしたこともあり、1回目のピットを迎える前にリヤのグリップが落ちオーバーステアと格闘するハメに。給油のため10号車と同じタイミングで1回目のピット作業を行いコースに復帰。ここで10号車を逆転し、一つポジションを上げることができた。本来同じようにもう一度給油のみのピット作業をし、3スティント同じタイヤとドライバーで走行するが、S102はシェイクダウンからロングランテストが出来ていないため、大事をとって2スティント終了時にタイヤ交換とドライバー交代も行った。暑くて大量の汗もかいたけど、まだそれほど疲れを感じていなかった。ちなみに1スティントは10〜11周で、時間にすると約40分である。僕からバトンを受け今度は立川選手が3スティントの走行。ピットインのタイミング次第で順位は変動するが、だいたい6位から9位の間を走行し、無事3スティントを終えピットに戻ってきた。そして僕がホスピで身体を休めているところに立川選手がやってきた。が、今まであまり「疲れた」という言葉を発しなかった立川選手が「疲れた」と言っている。3スティント目に入った時点で急激に疲れがきたという。後に片岡選手も同じ事を言っており、ストレッチ器具やトレーナーのマッサージなどをフル活用することになったのでした。ハッハッハッ(笑)。


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